自分より先に、人の目に火が点る
「玉座の上にあっても、木の葉の屋根の下に住まっても、人間は同じである。その本質において、人間とは何か」
— 『隠者の夕暮』冒頭(1780年)Der Mensch, so wie er auf dem Throne und im Schatten des Laubdaches sich gleich ist: der Mensch in seinem Wesen, was ist er?
ペスタロッチーは孤児を引き取り、自分の財産を使い果たした人です。事業は何度も潰れました。それでも彼が手放さなかったのは、身分でも知識でもなく「人間はどこにいても同じ人間だ」という一行でした。玉座の上でも、木の葉の屋根の下でも同じ。だから、いま目の前にいるこの子から始めればよい、と。誰かのために動きすぎて自分が薄くなっていると感じるとき、この人は止めてはくれません。ただ、順番だけを言い直してくれます。先に人であれ、それから役割だ、と。
「まず君は、子よ、人間である。そのあとで、自分の職業の見習いだ」
Erst bist du, Kind, Mensch, hernach Lehrling deines Berufs.
順番が逆になると、役割を失ったとき自分まで無くなる。
「純粋な真理の感覚は狭い輪の中で育ち、純粋な人間の知恵は、自分にいちばん近い関係を知るという確かな地盤の上に休らう」
Reiner Wahrheitssinn bildet sich in engen Kreisen, und reine Menschenweisheit ruht auf dem festen Grund der Kenntnis seiner nächsten Verhältnisse
遠くを見ても育たない。手の届く範囲こそが地盤だと言っている。
「玉座の上にあっても、木の葉の屋根の下に住まっても、人間は同じである」
Der Mensch, so wie er auf dem Throne und im Schatten des Laubdaches sich gleich ist
座っている場所は、あなたが何者かを一文字も決めていない。