遠い理想のために、今日を燃やせる
「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない」
— 『デミアン』第5章Der Vogel kämpft sich aus dem Ei. Das Ei ist die Welt. Wer geboren werden will, muß eine Welt zerstören.
他人の教えでは悟れない、とヘッセは繰り返し書いた。誰かの成功のやり方をなぞっている限り、その人の世界の中にいることになるからだ。外へ長く旅した末にたどり着くのは、たいてい自分の内側である。彼にとって孤独は弱さではなく、自分だけの道を見つけるために必要な材料だった。
「どの人間の人生も、自分自身へ向かう道であり、その道の試みであり、一本の細道の指し示しである。誰ひとり、完全に自分自身であったことはない。それでも誰もが、そうなろうとしている」
Das Leben jedes Menschen ist ein Weg zu sich selber hin, der Versuch eines Weges, die Andeutung eines Pfades. Kein Mensch ist jemals ganz und gar er selbst gewesen; jeder strebt dennoch, es zu werden
到達した人はいない、と最初のページに書いてある。途中であることは、失敗ではない。
「鳥は卵から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようとする者は、一つの世界を壊さなければならない」
Der Vogel kämpft sich aus dem Ei. Das Ei ist die Welt. Wer geboren werden will, muß eine Welt zerstören.
壊すのは他人の世界ではない。自分がそれまで安全に暮らしていた殻のほうである。
「私はただ、自分の中からひとりでに出てこようとするものを生きてみたかっただけだ。なぜそれが、あれほど難しかったのか」
Ich wollte ja nichts als das zu leben versuchen, was von selber aus mir heraus wollte. Warum war das so sehr schwer?
立派な目標の話ではない。勝手に出てこようとするものに従うだけのことが、いちばん難しいと書いている。
「知識は伝えられる。しかし智慧は伝えられない。見つけることはできるし、生きることもできる。だが、言葉にして教えることはできない」
だから彼は、教えを説く人ではなく渡し守になった。人の答えが自分に効かないのは、もともと当たり前だった。